SEVENTH HEAVENS
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2015年10月…3年後にリニューアルされる上越水族博物館に熱帯魚の特大水槽を設置してもらうため日々署名活動に追われていた。ただ要望を押し付けるのではなく来館者と施設側双方が納得できる企画を提案しなければこの夢は叶わない、水族館側から求められたのは「その水槽が存在しなければいけない理由と明確なメッセージ性」という難題だった。ただ「見たいから」という理由で水族館の内容が決められたのであれば日本中の水族館がほとんど同じ展示内容になってしまうだろう、水族館陣営は皆プライドを賭けて地域の個性を生かした展示内容を模索しているのだ。

でもアクアリウムファンは率直に天野作品のような特大の水草水槽を見たいのだ、だから双方の要望を叶える水槽というのは「地域の個性を生かした唯一無二の特大水草水槽」という事になる、はたしてそんな事ができるのだろうか?

設計段階では日本海の生態を再現した水槽が作られるらしい、だがどうだろう?俺達はいつも日本海の目の前で暮らしていると言うのに、そんな現実的な世界に夢を抱く事ができるのだろうか?行政は市外からの集客ばかり意識して、地元の魅力アピールしか考えない。まずは市民のための水族館を作るのが先なんじゃないかと、市民が自信を持って自慢できる水族館を作らなきゃいけないんじゃないかと、そんな考えの中にわずかな可能性が見えてきた。

 「地元の石や流木を使ってみればいいんじゃないか?」

なぜ今まで気づかなかったんだろう?俺は過去20年間あらゆる所に石や流木を求めて旅してきた、少なくとも上越地区で水槽に使える素材の収集場所を一番知っている男じゃないか!そんな素材を使っていつもアクアリウムを楽しんでいるじゃないか!だから上越地区で採取できる最高の素材を使って特大の水草水槽を作ればいいんだ! スゴイでしょ?もはや情熱系のドキュメンタリー番組だね。久しぶりに「行かなきゃ!」って思った。何故って?「そこに石があるからさ!」(このセリフも久しぶりだ)

遊びがてら流木や石拾いに行く事はあったけど、記録が残っている本気の散策は2008年秋が最後「早朝の川石編」って事は9年ぶりかぁ、今回の相棒は店に来ていた大学生から押し売りされたヤマハYB-50。これがまた絶望的なカッコ悪さだったので必殺のぶった切りカスタムと人生初の自家塗装で仕上げたYBチョッパーで行く事にした。

天気は文句なしの秋晴れ、でもそういう日の朝は寒いので出発はいつもより遅めの午前10時。自宅からミンチョで店まで行って、そこでYBに乗り換える、だいたいYBは遠出用として使っているのでエンジンかけるの久しぶり、チョークを開けて何度もキックしてもエンジンがかからなかったり、アクセルを開けるとエンストしたり、幸先悪く手間取ってしまったが(そういうのは前日に準備しとけよな)、しばらくすると安定してきたのでいよいよ出発。

ヒートテックのインナーと薄手のナイロンジャケットを着てきたけどかなり寒い!昼には気温が上がると見越しての選択だったが失敗だったかもしれない、最近はバイク旅なんてしてなかったら勘が鈍ってるんだろうな。昼飯はラーメンにしよう。

国道8号を富山方面に向けて走れば右に広がる日本海、所々で波乗りしているサーファーがいる、秋は何をしても楽しい季節だ。それにしても海風がまたすこぶる寒いな、昼飯はとにかく熱いラーメンにしよう。

1時間ほど走ると糸魚川まで来た、今回の目的は姫川で採取でそうな山石の存在を確かめる事。だからここから国道148号に曲がり、姫川を遡って行こうって作戦だ。だけども鈍った体力では1時間が限界か?寒さのせいもあり早くも休憩、コンビニに逃げ込んで暖かいコーヒーを購入。いつもはブラックなのだけども今日は砂糖入り。日に照らされて暖められた駐車場のアスファルトに座り込んでコーヒーをすする…昼は絶対にラーメン食ってやる。

まずは姫川の河口付近の調査だ。以前にも拾いに来た事があるけども、姫川は多様な石が混在していて非常に楽しい川で窪みのある王道の川石もあれば変成岩のような尖った山石もある。今回の狙いは山石で、当然河口の石はどれも丸くなっているけども、とりあえずここで使えそうな石のタイプを絞り、その石のルーツを求めて川を遡上して行けば角のある山石にたどり着く事ができるだろう。というわけでいくつかピックアップしてみた。

再び上流を目指し15分ほど走ると川が分岐している、姫川には幾つもの支流があるけどもスキー場の方に向かう支流の石は白っぽい石ばかりのようなのでこちらではないらしい。さらに10分ほど行くと今度はヒスイ峡に続く支流があった、ここまで来ると景観が素晴らしく、思わずバイクを停めて川に下りてみた。ヒスイ峡方面にも良さそうな石はあるが狙いの物は無さそう、俺は宝石に興味ないし捕まるのも御免なのでこちらは退散、対して本流の方向には錆びた鉄橋があり、その先の河原には親石サイズの本命がゴロゴロしてるではないか!いよいよ本拠地が近いようである。




問題なのはここまで来ると長野との県境が近いという事、今回は上越地区に存在しなければ意味がないのでなんとか間に合ってほしい。さらに道はトンネル続きの峠道に変わり、原付ではちょっと身の危険を感じるスリリングな状況になってきたが、そのトンネルの短い切れ目で河原に行けそうなポイントを発見した。

たぶん護岸工事用の道なんだろう、細いアスファルトの道を下り、橋のたもとにバイクを停めて辺りを見回せばなんとも言えぬ絶景!その渓谷はまさに山石の生まれる場所である。すごい、今まで石の神は群馬にしかいないと思ってたけどこんな身近な所にもいたんじゃん、上越地区の自然はすごいよ、胸を張って誇れる宝だよ。しばらく夢中で写真を撮り続けていると近くの発電所から昼のチャイムが聞こえてきた…そうか昼飯か。





朝から悶々としていたこのラーメン欲、この気持ちをぶつけるにはあの店しかねぇだろうとアクセル全開で向かった先は「あさひ楼」。今ではすっかり有名になってしまったけど、店構えが「普通の家」というB級感がたまらないのである。最後に訪れてから何年も経っているので少しは変化があるかと思いきや何も変わっちゃいねぇ!店構えも、変な注文システムも、そしてラーメンの味もまるで時間が止まっていたかのようだ。

率直に言おう、ここのラーメンは美味くない。麺は茹ですぎなのかフニャフニャで、スープは煮干と思われる魚介臭さが強烈、スープの表面を被う脂はチャーシューを煮込んだ時の脂を捨てる代わりに注いだんじゃないかと思うほどの量、ネギではなくタマネギ、その上には胡椒が大量にかけられている。素材のどれを取り上げても酷い食い物だ、だけどそれらが融合すると奇跡の化学反応が起こる!

ゆっくりと味わうつもりが夢中になって麺をすすり、あっという間に大盛を食べ終えてしまった。冷静さを取り戻した頃には再び口の中の生臭さと、大量の脂による胸やけに襲われるのである。故意にユルく作ったキャラクターはユルキャラとは認めない、そして狙って作ったB級グルメもしかり、そんなガセばかりの世の中で正真正銘のB級に君臨する「あさひ楼」ラーメンは素晴らしい!旅の締めくくりとして大満足でありました。

過去の石散策から比べればかなり小規模な旅ではあったけども、やっぱりこの楽しさは変わらない。本当に水族館に水槽を置く事ができるようになれば次回は本格的な採集作業だ、その時の昼飯もやっぱり行ってしまうのだろうか?

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