SEVENTH HEAVENS
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命の相場 2010/11/30
先日ご来店いただいたお客様に「なんで他の店みたいな価格にならなの?」と聞かれた、初めてのご来店ならともかく、何回か来ていただいているのに俺の意志が伝わっていなかったことにショックを受けてしまった。売買というのはその物の価値と価格が釣り合って初めて成立するもの、価格がその価値と同等、もしくは低ければ買うし、高ければ買わない、つまり「購入=納得」という方程式が成立していると思いこんでいた俺が甘かったようで、その反省の意味も込めて、あまり書きたくはないけれど価格について今回は書こうと思う。

生体の価格というのは特に定価が設定されているわけでもないので、ショップごとにかなりシビアに検討しているはず、生体の仕入れ価格を基準にするところもあれば、他の店がこの値段だからというだけで決めている所もあるかもしれない、ご存じ方も多いと思うが生体の仕入れ価格は一般的な売価に比べてかなり割合が低い(要するに安い)、その価格だけを見ると熱帯魚屋はどこも大儲けをしているように思われてしまう。しかし、生体の売価のほとんどはその維持費で占められてしまっているはず。魚を飼ったことのある人なら分かるはずだけど、魚を生かしているだけでエサ代、水道光熱費、さらには水槽などの機材代まで結構費用がかかる、さらにどんなに手を尽くしても、疲労している入荷魚は1割以上死んでしまう、あとはショップによってはテナント料や人件費、数え切れないほどの費用がすべて生体の売価に含まれてくる、そこまで含めてやっと最低限の販売原価となる。ここから先は俺自身の考えになるけど、ショップをやっている以上はその最低限ラインではまだ販売してはいけないと思っている、自分が100%自信を持って販売できるコンディションになるまで時間をかけて仕上げる。もうそこまで手をかけると仕入れたときの単価は意味を持たなくなる、最後の価格の判断基準は「命」の価格、だからセブンスの魚や水草の価格はほとんど同じになっている。それをお客様がどう判断するかは自由、価値に合っていれば買っていただければいいし、合っていなければそのまま素通りしてかまわない。俺はこの店で、この世の中でするべき事を実行しているだけ。低い単価がお好みであれば今やメール一通で日本中どこからでも物が届く時代なんだからそこで買えばいいだけ、それをあの店があーだった、この店がこーだったと他人に自分の定規を見せつけるのはいささか常識を外れているような気がする。

ペットショップで売られている犬や猫のゲージに時々貼られている札…「成長のため半額」の意味が分からない。狭いゲージで賢明に生きてきた動物の命の価格がなぜ変わるのか理解できない、売れなくて困るぐらいなら最初からそんなものを売らなければいいし、動物の命を糧に生活させてもらっているのであれば売れなかった動物は全部自分で飼うぐらいの覚悟でその仕事に就いてほしい。

残酷なこの仕事をしてると時折自分がどうしていいのかわからなくなるときがある、自分の意志と行動が完全に矛盾しているから。この矛盾に耐えられなくなったときは、申し訳ないけど世界からアクアリウムショップが一軒減ってしまうことになるだろう。