草木も眠る午前2時57分…携帯電話の目覚ましを3時にセットしておいたのに目が覚めた。ヤバい旅の時って結構こういう事がある、寝相の悪い子供に布団をかけなおし、妻を起こさぬようにそっと部屋を出る…。一体何のために?「…そうさ、行くのさ」どこへ?「…旅へ」何のために?「…そこに石があるからさ」。なぜそこまでして旅に出るのかと聞かれればきっとこう答えるだろう「なぜ行かないんだい?」…と(笑
 間違いなく俺はアホだ、この世の誰が石拾いのために午前3時に起きるんだ、でもそれはセブンスの開店が午後1時で、その目的地には片道3時間かかるから仕方ないんだぁ!!もちろん高速道路は使いません。
 月も陰り靄の立ちこめる空気の中で深呼吸をする、もう11月…暦の上ではもう冬だ、2008年ももう終わろうとしている、この旅も初回から10年経とうとしています、俺の人生は本当にこのままでいいのだろうか?めずらしく今回は一人旅故に悲観的な考えも浮かんでは消える。唯一の相棒は平成7年式のセルボモード、現時点で13年落ちである、昨年車屋さんに「なんとか30万円以内で(4ドア4WDオートマ)軽自動車を!」と頼んだら24万のこいつが出てきた、13年落ちで走行距離2万km!?良いのか悪いのかわからないけど、この往復300kmの旅を走り抜けるのだろうか?
 深夜の国道をひたすら走る、周りは長距離のトラックばかりで3速オートマのこのクルマでははっきり言ってコワイ!しかたねぇだろ!ベタ踏みして故障でもしたら帰れなくなるんじゃ!気分直しにラジオをつけてみた、早朝4時の番組は「すばらしき源氏物語」…消した。
 目が覚めてから1時間も経つと腹が空いてくるもんで、何か食べようとは思うけどコンビニおにぎりも味気ないし、店で食べるには時間がない、そこにマクドナルドが見えたのでそこに決めた(コンビニおにぎりと大差ないけど)、全国24時間営業になったマクドナルド、CMでは深夜にもかかわらず若い女性の店員さんが最高のスマイルでお客を迎えるという内容だった、ちょっと期待していた。スマイルだった…たしかにスマイルだった…まぁ現実なんてそんなもんさ。保育園に子供が通うようになってから我が家にはこといろいろな病気が発生するようになり、とくに俗に言う「風邪」なんざ一年365日のうちの300日は冒されている始末、そんな状態も終いには極限に達したようでここ10日ほどは「におい」というものを全く感じ取ることがなくなった、子供がピーマンを鼻つまんで食べる事があるけどそんなレベルではない、何を食べても無味無臭、ワサビだってたしかに辛いけどあのツーンはナシ、ロシアン寿司だって平気で食えるほどだ。何を言いたいのかといえば、マクドナルドのスマイル(の声)に挑発されてチーズバーガーに加えフィレオフィッシュを奮発してしまったのだ、チーズバーガーの後に食べたのだが、フワフワのバンズに挟まれたサクサクした何かの上にはドロッとしたソースが乗っている、食べてみてそれ以上の感想はない。味(のような感覚)はチーズバーガーと変わらず無味無臭なんだからそんな高価な物頼まなくたってチーズバーガー2個で良かった…いや!ノーマルのハンバーガーでいいんじゃねぇか!?においはね大事だよ、むしろ味以上に重要だよ!
 まもなく山越えの道に入る、ナビ付きの車に乗るようになってから本当に道を覚えられなくなった、目印になる建物を全く気にしなくなってしまい、画面ばかり気にして走っているからだ、また人間をダメにする便利な物を見つけてしまったよ、でも今日は地図一枚!100%アナログ!ただの紙!頼れるのはそれと道中の青い看板だけ、なんかこういうドキドキ感久しぶりだなぁ、一本道を間違えるだけでとんでもないことになりそうな地図の旅、この場所には過去2回来たことがある、その時はナビは無し、やっぱりそういうときの道ってよく覚えてるみたいで頭では「何でここで?」と思うような交差点で体が勝手にハンドルをきった、でもその道が正しかったみたいで目的地に無事到着した、やっぱり人間はナビよりすごい。
 

あの頃と同じ風景

水面にたたずむ石たち

この光景も今まで時間が止まっていたようだ

落ち葉が絡むところがなんともすばらしい!


 到着したときは東の空が明るくなり始めて、車のライトも必要なくなるくらいになっていた、ここは川沿いの公園のような所で地元の人ならこの画像を見るだけですぐにどこなのかわかるはず、意外に石拾いでもメジャーな所だったりする。でもこんな時間にはさすがに誰もいるはずもなく、さらに初冬の寒さがシャツ2枚の俺にはかなり厳しかった、でもその寒さと川の存在感と静寂さがなんとも凛とした雰囲気を醸し出していて、約5年ぶりに訪れたこの地が全く変わることなく目の前に広がる…自然や石にとって人間の5年なんて一瞬にすぎないのだと実感した。 
 さて、まじめな話はこのくらいにしてそろそろ狩りを始めますかねぇ、発泡スチロールの箱と軍手を装備して、あとは自分の目を信じるのみ、いや〜久しぶりだなやこの感じ!やはり石拾いはやめらんねぇ。今日のターゲットは「山石」なのだ、川で山石が採れるの?とお思いだろうが、ここのスポットではもちろん川石がメインだが良質な山石も微量ながらゲットできるまさに夢のような「神なる川」なのだ!見よ、この一面の石畳を!これだけの量があると冷静に選ぶことが出来ずに手当たり次第持ち帰ってしまう事も多々あったが、今の俺は違う!厳選に厳選を重ねて本当に必要な石だけを持って帰るのだ。そう、石を探している時点ですでに頭の中には石組レイアウトの完成の姿が描かれている。今俺の中に天野尚が舞い降りようとしている!!(すいません、本当に申し訳ございません)
 河原をうろつくこと2時間、たぶんここにある石はすべて見たことになるだろう、その中から選りすぐった石が下の画像にあります、いずれ店頭の水槽で使用されると思いますが、きっとその石とこの旅のすばらしさを感じていただけると思います(1箱空のままでも帰るところがニクイよなぁ)。
 

愛車です

今回の収穫
 
 最後にカメラを持って画像を納めたわけですが、冷静に周囲を見渡せば紅葉と川が見事にマッチしており、さらに石の間に落ち葉が絡まり自然のグラデーションを作っているなんてなんとも素晴らしい光景であります、そんな光景を納めているこのカメラ、実は新調したんですよ!今まで10年落ちのオリンパスを愛用していたんですが、思い切って10年落ちのオリンパスのジャンク品を2000円で買っちゃいました!笑うなら笑え、でもなこの両機種は単三電池で撮れるんじゃ、俺は充電切れの不安のないこのカメラをあと10年は愛用してみせる!旅先で「すいませーん写真撮ってくださーい」って頼むと「えっ?何このカメラ?」って顔されるけどね…
 10年ぐらいで「何これ?」なんて存在じゃ寂しすぎるぞ、この石たちのように何億年経とうとも心の奥に響くような男を俺は目指す!