イチロー 2009/5/16

 今さらだけどワールドベースボールクラシックの決勝は泣いた、前大会もずっと見ていたので連覇という偉業のすごさを痛感した。日本の至る所で見ず知らずの人達が一緒に応援して、最後は抱き合っていた、日本の人情もまだまだ捨てたモンじゃない。と、数ヶ月経った今、このことを記事にているのは日本で俺しかいないという現実がちょっと悲しいけど…。
 先日、ご婦人が来店して店の正面にある水槽を見てこういった「この光景が忘れられなかったの、もう一度見たかったから…」こういわれて嬉しいけれど、反面こんなレプリカ崩れのような水景で感動されては逆に申し訳ない、あわてて本物のギャラリーを紹介するが、どうもこちらの方がお好みらしい、いろんなマニアがいるもんだ。アクアリウムをやっている人なんてみんなマニアかと思いきや、こんな意見を耳にした「ADAのガラス製品なんて割れてゴミになるのがオチなんだから使わない方が良い」ある意味実用性マニアという感じのご意見ではあるが、この100%エンターテイメントで構築されたアクアリウムという世界にいながら、なんと洒落のわからない方なのでしょうか?硝子という物質の割れるからこそ愛おしく、透明という奇跡的な色彩を持ち、職人の手で一つ一つ手作りされているという非の打ち所がない商品でございます。メンテナンスの度に増えてゆく細かい傷でさえも、自身のアクアリウムの歴史と共に趣を増してゆくのです。俺のポンコツワーゲンに親父を乗せたときに「ベニヤ張りの牢屋のような車」だと罵りながら同じ値段で最新のエコ減税カーが買えると申しておりました、40年前の職人達が天井のアールに合わせて手曲げ加工した木板がどこの牢屋に付いているのでしょうか?俺の親父は化学製品で囲まれた得体の知れない物質で作られた土にも返らない名ばかりのエコカーがお好みのようだ、きっとこの人もリリィパイプを使う事はないんだろう。
 水槽の管理を頼まれるときに打ち合わせの段階から意見がぶつかることが多い、その多くは水槽の希望サイズと費用が合わないという所、俺はその場所に意味のある水槽を置いてほしいだけ、付き合いだけの契約や妥協した物を置いて誰にも見向きもされないようではよっぽど経費の無駄遣いで、それなら置かない方がよっぽどマシだと思うから。
 ワールドベースボールクラシック決勝…街頭のテレビの前でたくさんの街ゆく人々が足を止めて試合に釘付けになっていた、他の目的のために動いている人を立ち止まらせるというのはものすごいパワーが必要だ、ちょっと古いけどウィッキーさんの英会話講座に誰も振り向かなかったみたいに…。丁寧に作り込まれたアクアリウムには人を立ち止まらせる力がある、そんなものすごい力を秘めた趣味に従ずる人達にもっと自信をもってほしい、プライドを持ってほしい。テレビの向こうのイチローのような、水槽の前のあなたに。