車を買った 2008/12/26

 「フォルクスワーゲンタイプ2」通称ワーゲンバス、実車を初めて見たのはまだ3ヶ月前でしかないんだな、床から一本の棒が立っていてその先端にハンドルがある、それだけ。そんな車を見て初めて「車が欲しい!」と思った、俺は今まで車は走れば十分、オイル交換にお金をかけるのももったいない、ましてや車検費用や車両税なんて意味不明、払いたくもない!そんな考えであるから選択の範囲は自動的に軽自動車になる、今まで乗っていたのは無理を承知で探してもらった20万円のポンコツ!これで十分、バイク乗りなら屋根がある乗り物なんて乗るべきじゃない、ちょっと極論すぎたか?
 免許を取ってから12年、ずっとこんな考えだった俺をブチのめした一本のハンドル、怖いくらいのこだわりを持ったワーゲンショップとの遭遇、そして奇跡にも近い前オーナーとその車との出会い、5日前に手元に届いたバス、そのプロローグとしては最高だった、たぶんこれが同じ価格の国産新型車でもこんな物語は絶対になかっただろう。
 突っ立ったハンドルは俺に語りかける「余計な物は必要ない」、コンピューター頭脳を持たない40年前のエンジンが語りかける「俺を乗りこなしてみろ!」、過去5人のオーナー(うち4名はアメリカ人)が「お前に任せる」と無言の要求をしてくる、それは40年も経ったとは思えないほどサビがほとんど無い車体を見ればわかる、コンディションの良い車両が手に入ってラッキー?とんでもない、今は手に入れた喜びよりもこの重圧に押しつぶされそうになっている、全財産つぎ込んでまでなんでこんな思いをしなきゃいけないんだ?欲しい車を買うってのは相当金のかかる自虐行為なんだな。
  物事を「実用性」でしか判断できない人達を俺は真っ向から否定しなくてはならない、だって俺の仕事自体が実用性ゼロなんだから、バイクにしろこの車にしろ実用性という観点では限りなくゼロに近いものだ、それを否定するつもりはさらさらナシ、じゃぁなんでこんな物に乗るのか?と聞かれても容易く言葉で説明できるものでもない、安易に語ろうものなら逆に誤解を招いてしまうものなんてよくある事、実際両親にこの車を選んだ理由をさんざん話したけど、いまだに理解はされていない。
 ずっと過去の話だけど管理水槽の営業をしたことがあった、いろんな施設に手当たり次第に殴り込んで水槽の設置を勧めた。門前払いが9割、残りの1割は話を聞いてくれたけど案の定「水槽を置いたって売り上げには関係ないから」とか「お金をかけるだけ無駄」という意見、そんな毎日だったもんで今ではすっかり営業恐怖症に…なのでよく街中を巡っている現役の営業の方々のガッツに敬意を表します。それほど実用性の無いものを人に理解してもらうのは難しいはずなのに、ワーゲンショップのオーナーさんはものの10分ほどで俺を納得させてくれたのは何故?俺ってそんな単純なのかな?正しい理由はわからないけど、でもやっぱり一番感じたのはそのオーナーさんがワーゲンをこよなく愛していて、そして楽しんでいるから、どこかの熱帯魚屋の店長とは大違いだ、そんなんだから営業に行ったって水槽の良さなんて伝わるわけがない。
 まぁいいか…細かいことは忘れよう。天気が良い日に三角窓を半分開いて 、ファミリーサイズのピザのようなでっかいハンドルを抱えてガレージを抜けだそう!ベイウインドウ越しに眺めるいつもの景色はバイクに跨る時とはまた少し違って、なんだかセピア色に染まっている。詳しくはここでは書かないよ、俺そういう説明苦手だからさ。どうしても知りたい!って人はぜひワーゲンバス買ってみてください、ひとつだけ言えることはそう…priceless(笑